【出張記/ギリシャ】海運業界のオリンピック「Posidonia 2026」に参加してきました

日本マリタイムバンク営業部の阿部です!先日、ギリシャ・アテネで開催された世界最大級の海運展示会「Posidonia 2026(ポシドニア)」に参加してきました。
Posidoniaは2年に一度開催される海運業界最大級の国際イベントであり、世界中の船主、船会社、造船所、金融機関、舶用機器メーカー、ブローカー、保険会社などが一堂に会することから、「海運業界のオリンピック」とも呼ばれています。
今年は過去最大規模での開催となり、2,000社を超える企業が出展、83カ国・地域から業界関係者が集まり、来場者数は35,000人を超えたと発表されています。
実際に会場を訪れてみると、その数字以上の熱気を感じました。展示ホールには世界各国の言語が飛び交い、至るところで商談や情報交換が行われています。海運業界は世界経済を支えるインフラ産業ですが、その最前線がまさにここに集結していると感じることができました。
Posidoniaは単なる展示会ではない

一般的な展示会というと、企業が製品やサービスを紹介する場をイメージされるかもしれません。
しかしPosidoniaは少し異なります。
もちろん最新技術やサービスの展示もありますが、それ以上に「世界の海運関係者が直接会い、議論し、交流する場」としての側面が非常に強いイベントです。
会期中には数十ものカンファレンスやセミナーが開催され、世界の海運業界が直面する課題や将来像について活発な議論が行われています。
また、日中の展示会だけではなく、夜には船主や船会社、金融機関などが主催するレセプションやパーティーが毎晩のように開催されます。
まさに1週間を通じて海運業界全体が動いているような感覚であり、「海運業界のオリンピック」という表現は決して大げさではないと感じました。
会場で感じた3つの大きなテーマ
今回のPosidoniaで特に印象に残ったのは、海運業界全体が大きな変革期を迎えているということです。
展示やセミナーの内容を見ると、特に以下の3つのテーマに関心が集中していました。
① 脱炭素化への対応
最も多く取り上げられていたテーマが脱炭素化です。
海運業界では国際海事機関(IMO)による温室効果ガス削減目標への対応が進められており、船舶の環境性能向上は避けて通れない課題となっています。
会場では、
- メタノール燃料船
- アンモニア燃料船
- 船上CO₂回収システム
- 燃費改善技術
- エネルギー効率向上システム
など、様々なソリューションが紹介されていました。
一方で、「どの技術が将来の主流になるのか」についてはまだ結論が出ていません。
だからこそ、多くの企業が様々な選択肢を提示しながら将来に向けた投資を進めていることが感じられました。
② AI・デジタル技術の活用
今回特に存在感が大きかったのがAI関連技術です。
数年前まで海運業界ではデジタル化自体が大きなテーマでしたが、今回はさらに一歩進み、「AIをどう活用するか」という議論が中心になっていました。
例えば、
- 最適航路の提案
- 燃費改善支援
- 故障予知保全
- 船隊管理の効率化
- 安全運航支援
など、AIの実用化が急速に進んでいます。
これまで海運業界は比較的保守的な産業と言われてきましたが、実際には想像以上のスピードでデジタル化が進んでいることを実感しました。
③ 地政学リスクとエネルギー安全保障
もう一つ印象的だったのが、地政学リスクに関する議論の多さです。
近年は紅海情勢や中東情勢、各国の制裁問題など、海上輸送に大きな影響を与える出来事が続いています。
実際、セミナーでも、
- 地政学
- エネルギー安全保障
- 海上物流の安定性
といったテーマが数多く取り上げられていました。
海運業界は世界経済と直結しています。
そのため、船舶の需給や運賃だけでなく、国際情勢そのものが重要な経営課題になっていることを改めて感じました。
Posidonia Running Eventにも参加


今回の出張では、展示会だけではなく「Posidonia Running Event」にも参加してきました。
Posidoniaでは展示会に合わせて「Posidonia Games」と呼ばれるスポーツイベントが開催されており、ランニング、ヨットレース、ゴルフ、サッカー、バスケットボールなど、様々な競技が行われています。
私が参加したランニングイベントは、ギリシャ海運の中心地であるピレウスで開催されました。
普段であれば商談の席でしか会わないような船主、船会社、メーカー、金融機関の担当者が、ランニングウェア姿で同じコースを走る光景は非常に新鮮でした。
参加者は世界各国から集まっており、競技そのものを楽しみながら交流を深めることができます。
海運業界は最終的には人と人との信頼関係で成り立つ部分が非常に大きい業界です。
だからこそ、このようなスポーツイベントが長年続いているのだと思います。
実際に参加してみると、Posidoniaが単なる展示会ではなく、世界中の海運関係者を結び付けるコミュニティの役割も果たしていることを実感しました。
夜はレセプションの時間


Posidoniaのもう一つの特徴は、夜のレセプションやパーティーです。
会期中は毎晩のように様々な企業や団体がイベントを開催しており、世界中の海運関係者が集まります。
私も複数のイベントに参加し、多くの方々と情報交換を行うことができました。
船主、海運会社、ブローカー、金融機関など、それぞれ立場は異なりますが、皆が共通して関心を持っていたのは、
「今後の海運市場はどうなるのか」
という点でした。
展示会やセミナーで得られる情報も重要ですが、こうした場で交わされる率直な意見交換から得られる気付きも非常に大きなものがあります。
対面だからこそ聞ける話や感じられる温度感は、オンラインでは得られない価値だと改めて感じました。
現地で感じた海運業界の未来
今回のPosidoniaを通じて最も印象に残ったのは、海運業界が変革期の真っただ中にあるということです。
脱炭素化、AI、デジタル化、地政学リスクへの対応。
これらは一見すると難しいテーマに聞こえますが、世界中の海運企業が真剣に向き合っており、新たなビジネスチャンスも生まれています。
一方で、どれだけテクノロジーが進化しても、最終的に業界を動かしているのは人と人との信頼関係です。
朝は世界中の海運関係者と一緒にピレウスを走り、昼は展示会で最新技術に触れ、夜はレセプションで情報交換を行う――。
そんな1週間を通じて、海運業界のダイナミズムと国際性を改めて感じることができました。
今回得た知見やネットワークを活かし、今後も魅力的な船舶投資案件や有益な情報を皆さまへお届けできるよう努めてまいります。
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