投資のトリセツ

東インド会社とマリタイムバンクの共通点とは?

歴史の教科書で「東インド会社」と言うのを見たことありませんか?

「東インド会社」と「マリタイムバンク」には意外な共通点があります。

そもそも東インド会社って?

関ヶ原の戦いで徳川家康と石田三成が激突した西暦1600年に設立された会社で、イギリスのエリザベス女王1世から特にアジア貿易の独占を認められていました。東インド会社は船団をインドネシアに送り胡椒を持ち帰って利益をあげるといった事業を始めましたが、次第に貿易だけにとどまらず、独自の軍隊を持ちイギリスのアジア植民地経営全般に従事するまでに変革し、井伊直弼による安政の大獄が起こった1858年に解散しました。

そんな東インド会社との共通点は?

東インド会社は自身の名の下に航海を行うものの、航海ごとに出資者を募り、実際に船が持ち帰った品々を売却して得られる利益を分配する形式をとっていました。これはまさに、東インド会社が「組合の営業者」として計画したアジア貿易という「組合事業」に投資家が「組合員」として出資する投資ファンドです。

マリタイムバンクも商法535条による「匿名組合」というスキームの投資ファンドです。貸金業登録をしている日本マリタイムバンク株式会社の名の下に船舶融資を行うものの、融資案件ごとに出資者を募り、船舶融資から得られる利益を分配します。

なぜマリタイムバンクは「船舶融資」?

東インド会社が集めた資金で実際の船を運航していたのに対して、マリタイムバンクは船を運航する船会社に融資しています。どうしてでしょうか?

東インド会社の時代は今と違って沈没や海賊といった運航リスクが格段に大きい時代でした。船が香辛料を持ち帰れば大きな利益を期待できる反面、失敗するリスクも大きく、ハイリスク・ハイリターンな投資だったと言えます。現代の船舶投資は「船の沈没や海賊」といった物質的なリスクから「アップダウンの激しい海運市況」というマーケットのリスクに移ったとは言えハイリスク・ハイリターンであることに変わりないように思われます。

気軽に10万円からの投資」という、広く一般の出資者を募るクラウドファンドでは安定性と計画性が求められます。融資であれば、不景気で運ぶ荷物がなくても、船が故障して止まっても、船会社と契約した金利収益を期待することができるミドルリスク・ミドルリターンの船舶投資をクラウドファンドで可能にできると考えたのです。

執筆者:代表 昼田将司