船にミサイルが撃ち込まれたら⁈ 船舶保険会社との対談企画!⑤
マリタイムバンク営業部の阿部です!今回も前回の対談記の続きで、戦争保険と不稼働損失戦争保険、オフハイヤー総合保険についてご説明していきます!
前回はこちら
海賊被害を補償する保険
遠藤:今までご紹介してきた船体保険、不稼働損失保険、船主責任保険(PI保険)は全て海上危険、要は通常起こりうるであろうリスクを補償するものでした。
しかしこれからご紹介する戦争保険は戦争危険、つまり船舶が何者かによって攻撃された場合のリスクを補償する保険となっております。
阿部:要するに船舶にミサイルが撃ち込まれたりした場合の船体損傷、積荷、船員の治療費や不稼働損失を補償してくれる保険という事ですか?
遠藤:その通りです。しかし、国や地域によってこの戦争危険のリスク度って違いますよね?例えば、日本と内乱が起きている中東諸国やアフリカ諸国が同じリスク度であると思いますか?
阿部:それは違いますね…。
遠藤:ですよね。そのため航行する国や地域によっては追加で保険料を支払わなければ行ったらいけない、という約束が船会社と保険会社の間であります。
この国や地域は保険会社によって指定されています。この報告や追加保険料の支払いを怠った場合、リスクが高い国や地域でもしミサイルが撃ち込まれたり、海賊行為にあってしまっても、保険会社は損害金を補償する事は出来ません。
阿部:なるほどですね。我々マリタイムバンクとしてもこの様な事が起こらないよう、保険会社への連絡や追加保険料の支払いをちゃんとしなさいと融資先の船会社へ伝えておきます!
遠藤:また、船体保険のご説明の際に補償条件を表でまとめたものをお見せしましたが、全損には①現実線損と②推定全損という2種類の考え方があります。
①現実全損は、船舶が滅失した場合、または著しい損傷を被り物理的に修繕不能となった場合および救助が不可能な場合、②推定全損は、船舶の修繕費・救助費や共同海損分担額などの見積額や合計額が保険価額を超過した場合に認定されます。戦争保険では、以下表に記載されている場合に推定全損となります。
想定外のトラブルを補償する保険
遠藤:最後にオフハイヤー総合保険についてです。この保険は「③船が沈没したらどうなるの?」でもご説明した不稼働損失保険の一種ですが、船体の物理的損傷等を伴わない保険であることに特徴があります。
また、一部戦争保険で対象とするリスクを一部含んでおりますので併せてご説明いたします。
阿部:例えばどういったものを補償するのでしょうか?
遠藤:分かりやすい例としては、港湾労働者のボイコットによって発生する不稼働、船員の違法行為により発生する不稼働、船員の伝染病の感染によって発生する不稼働等があげられます。
阿部:伝染病ということは、今回のコロナ禍にも対応しているのですか?
遠藤:そうです!ただ今回のコロナ禍は我々保険会社としても想定外でした…。コロナの急拡大により、オフハイヤー保険の引き受けには相当厳しい条件が追加されましたが、保険金のお支払いはコロナ前に比べ、大幅に増加しました。。
阿部:医療保険でもコロナを理由とした支払いができなくなりましたが、船の場合は被害額が大きいですもんね…。
それでは次回がこの対談記の最終話になります。遠藤さんから色々と教えてもらいましたが、最後に格好よく締めてもらいましょう!お楽しみに!
執筆者:営業部 阿部廣