海運のナレッジ

【船舶の裏側】船長以外にも必要なクルーたち

船長さん以外にどんな人たちがいるの? 

皆様こんにちは!マリタイムバンク営業部の阿部です。
今回から2回に分けて、船を動かす人々、すなわち「船員」についてお話していきます。

みなさんは「船員」と聞いてイメージがつきますか?
恐らく一番初めに思い浮かぶのは船長さん(キャプテン)ではないでしょうか?

船の運航には様々な人たちが関わっています!

もちろん、船長さんは大事ですが、船上には船長以外にも様々な人が乗っており、会社同様に”組織”として運営されています。現代の船は昔と異なり、少ない人数で運行されており、かつトラブルなく船を運航しなければいけませんので、個々の役割分担や責任の所在がはっきりしています。

今回は、そんな船上の組織体系を見てみましょう。

船員の組織図

船の組織図!色々な人が働くからこそ、しっかり決まっています

見ての通り大きく分けて甲板部(Deck)と機関部(Engine)の2系列になっています。船長から三等航海士(機関長から三等機関士)の横にあるのは肩章(けんしょう)です。肩や袖につけるアレですね。一目でその人のランクが分かる様になっています。
とにかく「4本線が見えたら一番えらい人だな!」と思っていただいて大丈夫です。
ちなみに飛行機の機長の肩章も4本線です。
今度、空港でパイロットが歩いていたら注意深く見てみてると面白いですよ!

では、次に甲板部について解説してみたいと思います。

甲板部の仕事は?

甲板部は船の運航に関わる多くの部分を担当。入出港の作業や荷役の監督、航海中の見張りや操船など、多岐にわたる業務を行う部署です。実はランクに応じて、細かくやることが決まっているんです!

船長

英語ではキャプテン(Captain)やマスター(Master)と呼んだりします。とある有名な海賊の映画で「キャプテン ジャ〇ク・ス〇ロウ」と呼ばれておりました通り、実際船長にはキャプテン〇〇と呼ぶことが多いです。

船長の役割は読んで字のごとく、船の長ですので船上におけるすべての決定権と責任を負っています。本船に危険が及ぶと判断された場合、船長は船の持ち主である船主の許可を得ずに独自の判断で航路を変更したりできる権力も持っています。たとえば、次の港までの最短ルート上に台風が接近していた場合、迂回して危険を回避する判断ができたりします。

ここはマニアックな話になりますが、雇用契約書上、船長は “Designated Person by Owners”となっており、いわゆる船主の現場の代表者という立場となります。日々の業務は陸上側とのコミュニケーションが主で、その他船上の大きなことから小さいことまで気にかけなければなりませんので非常に忙しいです。

一等航海士

英語ではチーフオフィサー(Chief Officer)もしくはチーフメート(Chief Mate)と呼びます。実は船上で一番忙しいのはこの一等航海士だったりします。彼の仕事は航海士として航海中にブリッジの当直に入る事は勿論、荷役の責任者でもあるため、荷役の際には付きっ切りで現場へ指示を出します。また、甲板上の管理は彼の仕事ですので、甲板部員へどのような作業を行うのかの指示は彼が出しています。学校で言うと教頭先生みたいな役割ですね。

二等航海士

英語ではSecond OfficerもしくはSecond Mateと呼びます。主な仕事は航海中のブリッジの当直と荷役中の1等航海士のサポートですが、実はどのようなルートで次の港まで行くのかという計画書(Passage Plan)は彼が作成しています。船は彼が作成したプランに従って航海をしているというわけです。

三等航海士

英語ではサードオフィサー(Third Officer)もしくはサードメート(Third Mate)と呼びます。主な仕事は航海中のブリッジの当直と荷役中の一等航海士のサポートです。前述しました通り、一等航海士は非常に忙しいので、負担を減らすために一等航海士がブリッジの当直に入らなくてもいいよう三等航海士が2人乗船している船もあります。

甲板長

英語ではボッサン(Bosun)と呼びます。彼の1番の役割は現場の甲板員を束ねる事です。一等航海士と甲板員の間を取りまとめる役割を果たしており、現場におけるキーマンです。日々の業務は甲板上における各機器のメンテナンスやペイント作業および荷役中の現場作業です。

甲板手(操舵手)

英語ではエーブルシーマン(Able Seaman)もしくはクォーターマスター(Quarter Master)と呼びます。主な仕事は舵取りです。実は船の舵取りは船長や航海士が行っているのではなく、船長や航海士はどのように舵取りをするのか指示しているだけです。ただし、甲板手が勝手な判断で舵取りをすることはできません。3名ほど乗船しており、航海中は交代制で24時間常にブリッジにスタンバイしています。

航海中の様子。ハンドルを握っているのが甲板手。

甲板員

英語ではオーディナリーシーマン(Ordinary Seaman)と呼びます。主な仕事は甲板長と日々の甲板上のメンテナンスや現場での荷役作業を行っています。

次回は機関部を中心に説明します!(記事はコチラ

執筆者:営業部 阿部廣