VLCCの中に入って見えた、“動くインフラ”の構造

正直に言うと、「巨大な船」という認識は、乗った瞬間に崩れました。
VLCCは船というより、輸送・制御・動力が統合された一つの巨大システムです。
今回、実際に乗船し、その内部構造を体感する機会を得ました。
通船で40分、目的のVLCCへ


今回の乗船は、いわゆる「港からそのまま乗る」形ではありませんでした。
まず桟橋から通船(交通船)に乗り、
約【40分】かけてシーバース(沖合に建設された人口岸壁)に停泊しているVLCCへ向かいます。
後方に伸びる航跡を見ていると、
これから向かう対象の“規模の違い”を徐々に実感していきます。
Very Large Crude Oil Carrier(VLCC)

引用:www.marinetraffic.com
VLCCとは「Very Large Crude Oil Carrier」の略で、超大型原油タンカーを指します。
1隻で約200万バレルもの原油を運ぶことができ、載貨重量トン(DWT)はおおむね28万〜32万トンに達します。日本語では「超大型原油タンカー」と呼ばれ、主に中東から日本・中国・韓国といったアジアの製油所へ原油を輸送する役割を担っています。
そんなVLCCは、なぜ岸に着かないのか。
理由はシンプルで、
VLCCは大きすぎて、通常の港には入れないからです。
VLCCは満載時、喫水(海に沈む深さ)が約【20m前後】に達します。
一般的な港湾では水深が足りず、座礁リスクがあるためです。
さらに、接岸時には巨大な慣性が働き、
港湾設備にかかる負荷も非常に大きくなります。
そのため、VLCCは多くの場合、
- 沖合の専用バース(シーバース)
- ブイ係留設備
といった専用インフラに接続して貨物の積み込み・荷降ろし・積み替えなどを行う構造になっています。
また、原油という危険物を扱う以上、
港の奥ではなく外洋側で取り扱う方が安全性も高い。
つまりVLCCは、
「港に来る船」ではなく「沖で受け渡す船」
という設計思想になっているわけです。
通船は“VLCCへの唯一のアクセス手段”

こうした構造のため、
VLCCへの乗船は基本的に通船を使います。
- クルーの乗下船
- 陸上作業員の移動
すべてがこの通船経由です。我々が乗船しているときも交代クルーの方が同乗していました。
船舶位置情報を見ると、
東京湾の沖合に大型船が密集している様子がわかります。
これは、港に入れない船が沖で待機・荷役しているためです。

引用:www.marinetraffic.com
「近づくほど異様」なスケール

通船で近づいていくと、
遠くに見えていたVLCCのサイズ感が一気に変わります。
最初は「大きな船」だったものが、
徐々に壁のような存在に変わっていく。
この段階でようやく、「これは普通のスケールではない」と実感します。
そして、通船からシーバースへ下船したとき、正に「壁」が現れました。
圧倒的な存在感、距離認識ができないほどの巨大なサイズに驚愕

今回乗船したVLCCは全長約333m、船幅約60m、船底から甲板までの高さ29.4m、積載量が約【34.3万】トンというスペックです。
全長333mというと、およそ東京タワーを横に倒したくらいのサイズで、船底から甲板の高さである29.4mというと、これはビルでいうとおよそ9〜10階建てに相当します。
しかしこの数字は、実際に見ないと実感できません。
甲板は視界の先まで続き、
端から端まで徒歩で【数分】かかる距離感です。
“巨大”という言葉では足りない、
距離感が崩れるサイズでした。
デッキ=輸送システムそのもの

デッキに広がっているのは、単なる設備ではありません。
原油を積み込み、輸送し、陸揚げするための
パイプラインネットワークです。
無数の配管とバルブが、
それぞれ明確な役割を持って配置されています。
つまりVLCCは、
液体を制御するための装置でもあります。
ブリッジ=この巨大体の頭脳


この規模の船を動かしているのがブリッジです。
目の前に広がるデッキと海を見ながら、
航行に関するすべての判断が行われます。
印象的だったのは、
この巨大な船が少人数でコントロールされているという点です。
機関室=動力の中枢(別世界)

機関室に入ると、空気が一変します。
音、熱、振動。
すべてが一気に押し寄せてくる空間です。
ここでディーゼルエンジンが稼働し、この巨体を動かし続けています。
構造としては、「船」ではなく「工場」に近い印象でした。
制御室=すべてを“管理する場所”


機関だけでなく、船内の状態はすべて制御されています。
圧力、温度、流量。
これらがリアルタイムで監視され、
安全な運航が維持されています。
VLCCは、
巨大でありながら極めて繊細なシステムです。
人が入ると、スケールが理解できる

最も印象的だったのは、
人と船のサイズ差です。
人が入ることで初めて、
この船のスケールが現実のものとして理解できます。
VLCC=経済を動かす装置
この船が運んでいるのは、単なる原油ではありません。
この船1隻で運ぶ原油は約200万バレル。金額換算でいうと200億〜270億円ほど。
これは、日本の消費量でいうと約0.6〜0.7日分、つまり半日分以上に相当します。
つまりVLCCは、資源と資本を同時に運ぶ存在です。
まとめ

VLCCは巨大である以上に、
極めて合理的に設計されたシステムでした。
そしてそのシステムが、
日々、世界のエネルギー供給を支えています。
普段目にすることはありませんが、
その存在は確実に、私たちの生活と直結しています。
そしてもう一つ、この体験を通じて感じたのは、
こうした巨大インフラは「利用するだけの存在」ではないということです。
数百億円規模の原油を運ぶこのようなタンカーも、
金融の仕組みを通じて資産として保有され、運用されています。
当社が提供する船舶投資サービスでは、
こうした普段触れることのない大型商船を対象に、
実物資産としての価値や収益性に着目した投資機会を提供しています。
一見するとあまりにも非日常的な存在ですが、
その裏側には、実体経済と密接に結びついた投資対象としての側面があります。
今回の乗船を通じて、
“海の上で動くインフラ”が、資産としてどのように位置づけられているのか、
より具体的にイメージできるようになりました。
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