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船のリスクとは? 船舶保険会社との対談企画!②

マリタイムバンク営業部の阿部です!今回は前回の対談記の続きで、船舶保険の種類について簡単にご説明していきます!

前回はこちら

船舶保険の種類

阿部:船舶保険の歴史についてよく理解できました!それでは現代の船舶保険についてご説明頂きたく!

遠藤:わかりました。ところで阿部さんは自家用車を持たれているとお聞きしましたが、自動車保険には加入されていますか?

阿部:もちろんです!そもそも自賠責保険は法律上必ず入らないといけませんし、任意保険のも入る方が多いですよね?

遠藤:おっしゃる通りです。実は船もそうで、扱っている金額がとても大きいため、万が一の大きな事故が起こった場合、会社の経営に影響するほどの損失が発生します。このリスクを回避するために船会社は船舶保険にほとんど加入しております。特に融資をしている銀行は融資契約の中で保険付保を融資の必須条件としているため、ちゃんと保険に入っているか厳しくチェックしています。

阿部:弊社マリタイムバンクでもしっかりチェックしています!ただ、私は運が良いことに仕事で船の事故の経験があまり無く…。だいたいいくらぐらいの損失金額が発生するのですか?

遠藤:もちろん船の大きさや事故のケースによって金額は全然違いますが、参考までにお話ししますと…。ある13万トンのスエズマックスタンカーが中国の上海沖で衝突事故を起こした際に、油を流失させながら炎上漂流し沖縄沖で沈没、乗組員32人全員の死亡が確認されました。その際、総額で約USD194.5milの損害が発生したと聞いています。今の日本円の為替レートですと約250億円になりますね。

阿部:ひぇ~!!確かに1社どころか10社ぐらい吹き飛びそうです…。そのような大きなリスクを事前にある程度回避しておかなければいけませんね。しかし、船舶保険にもいろいろと種類があると思いますが、どのリスクがどの種類の保険で補償されているのか一からご説明頂けますでしょうか?

遠藤:わかりました。まずは今の時代における船の運航中に潜むリスクを理解しなければいけません。どのようなリスクが存在するかわかりますか?

阿部:沈没、座礁、火事にそれから…海賊とかですか?

遠藤:全て正解です。しかし船に潜むリスクは他にももっとあります。また、船舶保険は船のリスクの種類によって保険の種類も大きく6種類に分けられます。こちらの図で簡単にまとめてみました。

阿部:船体保険と戦争保険は何となくイメージしやすいですが、船主責任保険や不稼働損失保険はイメージしにくいですね(笑)

遠藤:先ずは船の全体的なリスクを海上危険と戦争危険の2つに分けます。海上危険は船舶の座礁、火災、衝突等のリスクや荒天・落雷等の自然災害リスク等を指し、戦争危険は文字通り戦争リスクや労働者のストライキ、海賊行為等のリスクを指します。そこから船そのものを修理するための費用を補償するものなのか、第三者への賠償金を補償するものなのか、船が動けないことによる経済的損失を補償するものなのかでカバーされる保険の種類が変わってきます。

阿部:船の保険も複雑ですね…。

遠藤:確かにそうかもしれませんが、何かあったときにお助けするのが我々保険会社の仕事です。かゆいところまで手が届くよう全力でご支援いたしますので、困ったときは私遠藤に遠藤(慮)なくご相談ください!

阿部:…。

それでは次回は船体保険と不稼働損失保険の内容についてご説明していきます。お楽しみに!

執筆者:営業部 阿部廣