海運のナレッジ

世界中で働く「船員」を応援しよう!

こんにちは。日本マリタイムバンク昼田社長からのご好意で、このブログに寄稿をさせてもらうことになりました、ノルスターシッピングの蓮井賢治と申します。私は長年総合商社で船舶のビジネスに従事し、現在は英国人が経営している船会社の日本の拠点で営業活動をしています。

2020年1月、新造船引渡し前日の筆者

「船会社」とは何を指すの?

「船会社」を一言で言うとすれば「船で荷物を運ぶ会社」なのですが、それぞれの会社の仕事の内容は多種多様です。実際に運ぶ荷物を荷主と契約して、それを目的地まで運ぶ会社を一般的には「オペレーター」という言い方をします。日本で言えば日本郵船、商船三井、川崎汽船のような船会社です。規模の大小はさまざまですが日本のみならず世界中にオペレーターが沢山存在していて、ノルスターシッピングもこの「オペレーター」のひとつです。

一方で、船を所有し、オペレーターに貸して(船の世界ではこれを「用船」と言います)使ってもらうことを仕事にしている会社もあり、一般的には「船主」と言われています。船を実際に所有している会社なので「オーナー」と呼ばれることも多々あります。何十億円もする船を何隻も所有しているオーナーってすごいですよね。海運の仕事は本当にスケールが大きいです。

世の中にはオペレーターであり、かつオーナーである会社も多数存在するのでそれらを厳密に区分することは難しい場合もありますが、それらを広く総称して「船会社」「海運会社」と呼んでいます。

「船乗りさん」の仕事とは?

さて、前置きが長くなりましたが、今日の本題は「船員」、いわゆる船乗りです。船には「船員」が乗っていることはどなたでもご存知だと思いますが、「船員」は船を実際に動かしている人であり、「船員」がいなければどんなに立派な船でも航行することは出来ません。運んできた荷物を陸上に荷上げすることも「船員」の活躍がなければ成し遂げることは不可能なんです。本ブログの別コラムにも掲載があったように、船上で働く「船員」の仕事の内容は多岐にわたり、長い航海中には様々な危険にも遭遇します。また、一度乗船すると数ヶ月、時には一年以上家に帰れなくて家族と離れ離れになってしまうこともあります。そんな大変な思いをしながら、日夜一生懸命働いている「船員」は私たち海運業界で働く者にとってのヒーローだと思っています。

参考記事:【船舶の裏側】船長以外にも必要なクルーたち

2020年5月、新造船引渡し日の弊社船員たち

特に日本は海に囲まれた国なので、海運の果たす役割は極めて重要です。日本の物資の輸出入の95%以上は海上輸送が担っていることをご存じでしょうか?船があるから、そしてその船を実際に動かしている「船員」がいるからこそ、我々の生活が成り立っているんです!

このとても重要な「船員」の存在を今一度、一人でも多くの人に認識して欲しいなと私は日々思っています。そして、その「船員」のために何か力になれないだろうかと思っている時に、今回ご紹介するイベントの運営スタッフとして準備に参画する機会に恵まれ、その広報活動に力を入れていると言うわけです。

マリタイムバンクも協賛!船員のためのチャリティイベントとは?

「船員」をサポートするためのチャリティ活動はさまざまですが、今般日本マリタイムバンク様には来年5月に日本で行われる Adventure Race Japan (ARJ) 2023 https://www.mtsadventurerace.org/?lang=ja に協賛頂けることになりました。ARJ 2023とは英国のMission to Seafarers (MtS)  https://www.missiontoseafarers.org/ という150年以上の歴史を持つ慈善団体が主催者として、来年5月に伊豆半島で開催するチャリティレースイベントです。参加者の皆さまは2日間伊豆半島、沼津湾周辺の海と山で野外レースを楽しみます。海運に関連する多くの会社から200名以上の参加者を見込んでいて、また協賛各社からは寄付を募り総額US$1mill 以上を目標としています。イベント関連の費用を除いた収益部分は全て世界中で活躍する「船員」のために有効活用される、という「船員」のサポートに特化した日本では初めての野外チャリティイベントです。

このような素晴らしい景観のコースを走ります

少しでも多くの寄付金を集めることが目標ですが、参加される海運関係者が情報交換を行い、交流を深めるとても良い機会にもなるので、必ず素晴らしいイベントになると確信しています。MtSは1856年に創設され、世界50カ国、200以上の港に拠点があり、スタッフが港に入ってくる船を毎日訪船し「船員」と対話をしながら物心の両面からのサポートを行なっています。ARJ 2023がMtSのこうした活動を日本で知ってもらうための一助になればと良いなと思っています。

私の勤めるノルスターシッピングがMtSと長年のお付き合いがあり、私自身がARJ 2023運営委員会メンバーの一員として現地視察のために何回も伊豆半島には足を運び、レース会場となる山道を走り、駿河湾でSUPのトライアルも行いました。

自然の中で汗を流し、海ではSUPを楽しめます

日頃から社会貢献活動に熱心に取り組んでおられる日本マリタイムバンク様には、ARJ 2023を通じてエッセンシャルワーカーである「船員」をサポートして頂き、この場をお借りして改めて厚くお礼を申し上げます、本当にありがとうございました!

このコラムを読んで下さった読者の皆様からの個人での寄付も受け付けています。また、MtSは東京、横浜、神戸に拠点がありそれぞれの港で「船員」サポートを熱心に行なっています。本件や「船員」のサポートにご興味をお持ちの方は筆者まで、お気軽にお問い合わせ下さい。

最後まで本稿を読んで下さいましてありがとうございました。

ノルスターシッピンググループ

日本における代表 蓮井賢治