船舶投資のイロハ

船舶には“投資”と“融資”の2種類がある!その違いってなんだろう?

皆さまこんにちは。マリタイムバンクの上田です。
この記事をご覧になっている皆様はご存じの通り、私たちは「日本唯一の船舶投資クラウドファンディング」を展開しています。ここでいう“投資”という言葉ですが、似たような言葉に“融資”というのもありますよね。
この2つの言葉、一見すると似ていますが、実は全然違う考え方に基づくものなんです。

さて、この記事では“投資と融資の違い”について、ゼロからわかりやすく解説していきます。
そして船舶の世界にも投資と融資がある。その違いを理解いただいたうえで、なぜ弊社が“船舶投資”と名乗っているのか、その想いをご紹介していきたいと思います♪

  • 投資と融資は何が違うのか

投資と融資は、「誰かにお金を渡して、それに上乗せする形でお金を返してもらう仕掛け」という点は同じです。しかし、その考え方は真逆とも言っていいようなものです。表にしてまとめてみましょう。

投資融資
手法将来的な利益を期待して、会社等にお金を“提供すること”利息の獲得を目的として、会社等にお金を“貸し出すこと”
利益の受け取り方会社が成長したり、事業収益からお金を受け取ります事前に決められた利息に基づき、定期的にお金を受け取ります
リスク相手側に返済義務がないため、一般的に高めです相手側に返済義務があるため、一般的に低めです
利回り一般的に高利回りです一般的に低利回りです

ポイントは“どちらがより大きなリスクを背負っているか”という点。
投資の場合、会社側に返済義務はなく、最悪のケース(会社が倒産した等)は1円も戻ってきません。
それに対し、融資は法律上の返済義務が発生するため、まったく戻らない…ということはほぼありません。
よって、投資のほうが高リスクなんですね。そのため、リターンも大きくなります。

  • マリタイムバンクは船舶投資? 船舶融資?

今の話をもとにすると、マリタイムバンクは“船舶投資”と謳っているから、株式なんですね?とお感じになった方、実に鋭いです。しかし、実は仕組みとしては“船舶融資”をしているんです。

本来の船舶“投資”ファンドとは、ファンドが自ら「船舶」という資産を購入し、商船三井のような船会社に貸し出し、定期的に傭船料を投資期中営業収入としてもらう仕組みになります。満期日にはその船舶を売却して、投資資金を回収し、投資家に資金償還するものです。そのことから、船舶投資は海運市況に左右される、ややハイリスクな投資であるといえます。なぜなら、船舶運輸の価格というのはかなり激しく上下するからです。

対して、船舶融資ファンドでは、基本的には海運船主(=船を持っている人)に対して融資し、船主がその資金で船舶を購入し、傭船して運航を行います。融資期間においては、運航収入を返済原資とし“船主から”融資返済金を受け取ります。この場合、融資対象である船舶には抵当権が設定され、万一、船主が倒産した場合はその抵当権を実行して船舶を売却し、融資資金の回収を図ることになります。
要は先ほど説明した船舶“投資”に比べ、船舶“融資”は船主というワンクッションをはさむことや、抵当権の設定があることによってリスクを低減しているのですね。

  • なぜマリタイムバンクは船舶融資の仕組みなのに、船舶投資と呼んでいるのか

さて、弊社の「マリタイムバンク」は仕組上、船舶融資の仕組みをとっています。

では、何故、当社が船舶投資と称しているか、ですが、これには理由があります。

まず、特に日本国内の金融機関やリース会社においては、船舶“融資”という場合、ほとんどが文字通り船主(あるいは一部の傭船(ようせん)社も含む海運会社)向け融資です。 当然、セオリー通りに、①船主と傭船(ようせん)社の与信クレジットが取れるか否かが最初に融資評価するポイントになり、②期中プロジェクトのキャッシュフローが上手く回るか、最後に万一の場合の船舶担保価値が確保されるか、の評価順位になります。したがって一番重視すべきは船主と用船者が融資先として適切かどうかという確認がとれて銀行内での「内部格付評価」が一定以上であるということが重要な問題になります。 そして、この「格付」の評価を大きく左右するのは、その海運会社(船主、傭船社)の業績決算数値(おおむね上場会社なら四半期ベースでの決算発表数値)です。
要するに①船主と傭船(ようせん)社の融資先として適切かどうか②融資対象のプロジェクト期間のキャッシュフロー③船舶の担保価値の順番になるのです。
金融機関から金融庁への報告においても、この格付評価が大きく重視されますが、これは銀行の自己資本比率に大きな影響を及ぼすからです。(基準に満たない場合、その銀行は増資するか、あるいは合併対象になってしまいます。)
ドラマ「半沢直樹」でも上記のことが一部取り上げられていましたね。
特に銀行の場合、信用リスク評価ですと銀行全体のポートファリオ資産構成における分散度が重視されます。 その際に、業種別、格付別のポートフォリオ分散が図られていることが自己資本比率を確定していくうえで重要な構成要素になります。

一方、当社では、案件を評価する順番が逆になります。すなわち、船舶の船型、船齢(せんれい)、運航荷物、船舶の堪航性(たんこうせい)、船籍、そしてその船舶の過去船価市況から見た相対的な船価というように、「船舶」におけるアセット価値(船舶そのものの財産的価値)を重視します。
次に融資対象のプロジェクト期間キャッシュフローの状況から将来的な資金ショートの可能性を見ます。 そして最後に見るのが船主と用船者が融資先として適切かどうかです。
では、なぜ当社が逆に考えるかですが、それには過去の苦い経験に基づいています。 実は株式投資をやられている方は良くわかると思いますが、傭船(ようせん)料を支払う大手海運会社の株式価格は、最も景気に連動し易い景気変動株の筆頭であり、非常に株価変動が激しいものです。これは海運会社の業績がグローバル景気に大きく影響される海運市況の変動に大きくブラされ、現状でたとえ高いクレジット格付がある海運会社も、市況次第では業積が急速に悪化してしまい、株式価値すなわち海運会社の事業価値が急速に減少することを株式市場は見ているからです。
そのため、 もし船主が所有船舶を大手海運会社(傭船(ようせん)社)であっても傭船(ようせん)している場合、その大手海運会社の業績悪化の影響次第では、船主はすぐにその影響を被り、その瞬間金融機関への返済が滞ってしまうのです。 さらに問題なのは、先程述べた金融機関における信用クレジット評価で重視される「格付」評価がこの海運市況の変動の早さに追いついていかないことです。つまり、金融機関が海運会社の四半期決算発表を受けて「格付」を見直している間に、海運市況は既に大きく変動してしまっており、海運会社のキャッシュフローはもはやその時点では相当落ち込んで(あるいはその逆も)しまっているのです。そのため、金融機関の動きは常に海運会社の実態から遅れがちになってしまいます。 実際、多くの日本国内の金融機関では過去1980年頃から概ね10年ごとに何度もこの海運市況変動の影響を受けましたが、金融機関における船舶ファイナンスは失敗の連続だったと言っても過言ではありません。 
従って、当社では、船舶ファイナンスを考える場合でも、その本質は信用クレジットリスクではなく、海運マーケットリスク(あるいはアセット・マーケットリスク)だと判断するようにしています。 その為、その変動の激しい海運マーケットリスクに耐えられるような案件組成を心掛けているのです。 つまり、その考え方を現わしているのが、「船舶投資」と称している理由です。

長くなりましたが、日本マリタイムバンクとしては船そのものに重きを置いた融資を行っています。弊社のクラウドファンディングはいわばその原資を集めるためのものでありますが、ほかの金融機関と違い弊社は融資先そのものではなく、担保である船舶に重きを置いた融資を行うことで手堅く資金回収ができるようスキームを組んでおります。
この機会にぜひ船舶投資に触れてみてくださいませ。

  • まとめ

いかがでしょうか。この記事では投資家保護を大切にしているため、船舶融資をあえて投資的視点で考え、皆様へ提供する…という代表のこだわりを、なるべくわかりやすく解説いたしました。

私たちが提供したいのは“オンラインで、安心して船に投資できる環境づくり”。
そのために、船舶の選定はもちろん、その仕掛けにおいても何重もリスク算定を行い、選ばれた船舶だけをしっかりお届けしてまいります。

引き続き、マリタイムバンクにご期待下さい!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。