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海運のナレッジ

地方銀行員、インド・スクラップヤード「Priya Blue」訪問記

船舶投資と出口戦略を現場で学んだ一日中国銀行 川之江支店 光森亮太朗 こんにちは。岡山県の中国銀行 川之江支店に勤務する銀行員、光森亮太朗です。このたび日本マリタイムバンク様とのご縁をいただき、マリタイム・ライブラリーに初めて寄稿させていただきます。 普段は法人営業として船舶融資にも携わっていますが、常に意識しているのは 「出口戦略」 つまり資産が最終的にどのような価値を生むのかという点です。船舶は不動産と異なり、最期に解体され鉄や機械として再び資金化される特徴があります。この「出口の価値」をどう評価するかは、私にとって大きな関心事でした。 そんな折、インド・グジャラート州アランにあるスクラッ

船舶投資のイロハ

不公平なルールを味方につける──抵当権の力

船舶好景気の2004年からこの業界で仕事を始めた私は、当初は仕組みどころか「抵当権」という言葉すら知りませんでした。 当時は、中国という新たな巨大市場がほぼ無から現れ、あらゆるものが高騰していた時代です。マーケットが下落する理由は見当たらず、「失敗しようがない」という空気が市場を支配していました。 しかし、その状況は2008年の「リーマンショック」で一変します。 資金調達は止まり、荷動きは急減、船価も傭船料も暴落。それまで順調に運航していた船会社は一気に苦境に追い込まれました。運賃が支払えない、傭船料が支払えない──やがて船員費が払えない、燃料代が払えないという事態に。そして最後には、融資の返

船舶投資のイロハ

船舶投資は安定?──長年の経験者が断言する“本当の姿” 

どうも、日本マリタイムバンク代表取締役の昼田です。社内からの圧力(?)があるので、心を入れ替えて(なるべく)定期的に、海運や船舶投資について書いていこうと思います。 さて、みなさん、船舶投資って「安定的な投資」だと思っていませんか? とんでもない! 長年この世界に身を置いてきた私が断言しますが、船舶投資は簡単ではありません。大きく儲かることもあれば、プロでも痛い目を見る。時には全てを失うことだってある、そんな世界です。 当社が「個人にも船舶投資を!」と言っていますが、とてもそんな世界に、リテラシーのない一般の方をいざなうほどの勇気はありません。私たちが“融資型クラウドファンディング”という形を

海運のナレッジ

モザンビーク出張記

日本マリタイムバンク営業部の阿部です! 今回弊社が関連会社向けに仲介した案件の現地調査を行ってきました。非常に興味深く面白い経験をしてきましたので、ブログに書かせて頂こうと思います! モザンビークとは? みなさん、「モザンビーク」という国をご存じでしょうか?アフリカ大陸の南東部に位置する国で、インド洋に面しており、天然ガス(LNG)と石炭の埋蔵量が豊富なことから、国際的なエネルギー投資の注目を集めており、資源・経済面で近年注目されている国の一つです。以下の通り簡単にまとめてみました。 今回弊社が仲介した船はモザンビーク北部の貧しい地域で行っている洋上発電船(Powership)による洋上発電プ

海運のナレッジ

第一線の実務家が語る、海運法務のリアルとマリタイムバンクの挑戦

「船に関わる法務」と聞いても、多くの人にとってはピンとこないかもしれません。しかし、海運業界では場面ごとに異なる法体系に精通した高度な法的知識が求められます。たとえば、契約交渉では英国法やロンドン仲裁を前提に進めつつ、現場対応ではベトナムやシンガポールなどの現地の法律、そして公海上では国際条約に従う——。こうした複雑な世界を支えるのが、「海の法務」のプロフェッショナルたちです。 今回、インタビュアーを務めるのは、日本マリタイムバンク代表の昼田将司。海運ファイナンスの最前線で新しい挑戦を続ける立場から、長年にわたり国際海運分野で活躍してきたマリタックス法律事務所の簑原建次先生にお話を伺いました。

海運のナレッジ

船舶チャータリングガイド|定期傭船、航海傭船、トリップ定期傭船の違いを解説

マリタイムバンク営業部の大竹です。 今回は、船舶業界に関わる皆様にとって重要な「チャータリング」について、私の経験を踏まえて解説する第2弾です。 チャータリングとは、簡単に言うと、船を借りてくる、あるいは船を貸して利鞘を稼ぐ仕事です。具体的には、ブローカーを通じて、船を実際にレンタルし使用します。 チャータリングには主に4つのタイプがあります。 不定期船(ドライバルクやタンカーなど)の運航会社(オペレーター)は、これらのチャータリングタイプを状況に応じて使い分けています。 今回は、定期傭船、航海傭船、トリップ定期傭船について詳しく解説していきます。 定期傭船 定期傭船は、期間で船を賃借する契約

海運のナレッジ

海運におけるチャータリングとは

チャータリングとは? マリタイムバンク営業部の大竹です。私は前職ではバルクキャリア(ばら積み貨物船)のスープラマックス から パナマックスを担当しておりました。スープラマックス や パナマックスという単語は船の大きさを表します。 本日は、みなさんにはあまり馴染みがないであろう、船のチャータリング・傭船という仕事について私の経験も踏まえて解説したいと思います。 チャータリングとは、ものすごく簡単に言うと、船を安く借りてくる、あるいは船を高く貸して利鞘を稼ぐ仕事です。 一般的に海運会社では、Chartering Manager、穀物や石油会社のような資源会社の場合は、Freight Trader(

海運のナレッジ

海事の世界へようこそ!―業界を情報で支える日本海事新聞―

―業界を情報で支える日本海事新聞― 皆さん、こんにちは!日本マリタイムバンク広報部の巌です。 普段あまり目にすることのない、でも海運業界で働く人にとっては「読まないと1日が始まらない」日本海事新聞を紹介させていただこうと思います。 日本海事新聞は、その名の通り「海運の業界」に特化した新聞で、海運、造船、港湾、物流など幅広い情報を提供しています。紙媒体だけでなく、デジタル版(https://www.jmd.co.jp)でも購読が可能で、記事も日本発のニュースだけでなく海外の船会社、造船所のニュースも発信しています。 そんな、日本海事新聞の記者、山本裕史氏にご来訪いただき、海運、造船、そしてその背

海運のナレッジ

バングラデシュ出張記!船舶解体の現状と今後の課題

 日本マリタイムバンクの阿部です!  以前私とパワンがインドのスクラップヤードに訪問した際のブログを書かせて頂きましたが、なんと今回はバングラデシュのスクラップヤードに行ってきましたので、その出張記を今回書かせて頂きます!(以前の記事はこちら:「船をリサイクル?!シップリサイクルの取り組みとやり方」https://blog.nmb.co.jp/blog/vessel/345/「世界最大の船の墓場に行ってみた!(インド出張記)」https://blog.nmb.co.jp/blog/vessel/567/) バングラデシュってどんな国?  皆さん、バングラデシュという国をご存じでしょうか?南アジ

船舶投資のイロハ

船舶には“投資”と“融資”の2種類がある!その違いってなんだろう?

皆さまこんにちは。マリタイムバンクの上田です。この記事をご覧になっている皆様はご存じの通り、私たちは「日本唯一の船舶投資クラウドファンディング」を展開しています。ここでいう“投資”という言葉ですが、似たような言葉に“融資”というのもありますよね。この2つの言葉、一見すると似ていますが、実は全然違う考え方に基づくものなんです。 さて、この記事では“投資と融資の違い”について、ゼロからわかりやすく解説していきます。そして船舶の世界にも投資と融資がある。その違いを理解いただいたうえで、なぜ弊社が“船舶投資”と名乗っているのか、その想いをご紹介していきたいと思います♪ 投資と融資は、「誰かにお金を渡し